スーパーGT Rd.2 富士【谷口信輝選手】
2025年SUPER GT第2戦は、例年通りゴールデンウィーク中に富士スピードウェイで開催された。好天も手伝い、土日の2日間で合計82,500人ものファンがサーキットに詰めかける大盛況イベントとなった。
今大会のレースフォーマットには、昨年導入された3時間耐久レース方式が採用されており、各チームには給油を含む2回のピットストップが義務付けられている。また、持ち込み可能なタイヤ本数は、ドライタイヤが6セット、ウェットタイヤが8セットと定められた。今大会におけるMercedes-AMG GT3へのBoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)は、基本重量1280kgに対してBoP重量50kgが加算され、合計1330kgに設定された。さらに、開幕戦岡山で獲得した14ポイントに対するサクセスウェイト28kg(2kg×ポイント数)が加わり、合計1358kgでの出走となった。エンジン出力を制限するエアリストリクターは、サーキットの特性を踏まえて岡山のφ34.5mmからφ35mm×2個へと拡大された。
5月3日(土・祝)【公式練習・公式予選】
公式予選 天候:Q1/Q2:晴れコース:ドライ
気温/路面温度 GT300 Q1開始時:20℃/33℃ GT300 Q2開始時:19℃/31℃
前日の搬入日は強風の中の大雨で、落雷への警戒も必要な荒天だったが、明け方までに天候は快復し、公式練習と予選が行われた土曜日は一転して終日の快晴となった。午前9時、公式練習がスタート。4号車グッドスマイル 初音ミク AMGには片岡選手が乗り込んだが、すぐにはコースインせず、前日の雨によって悪化した路面コンディションの改善を待った。午前9時10分、コースインしてセッティング確認を開始。4周目に1分37秒506を記録し、10番手につけた。しかし、片岡選手は「めちゃくちゃ乗りにくい。マシンが不安定」とピットに戻り、セッティングを見直した。すぐにコースに戻って走行を再開すると11周目に1分37秒051へとタイムを更新。しかし片岡選手からは引き続き「何だか分からないけど、やっぱり乗りにくい。車の動きがとにかく不安定」と訴えが続き、それ以上のタイムアップが進まない。
問題の原因究明は続く
その後も何度もピットインを繰り返してセッティングを見直すが「セット変更で問題点が移り、良かったところまで悪くなった。バランス良くなってない。」と、問題解決には至れず、途中片岡選手が車から降りてエンジニアと喧々諤々の議論をするシーンも見られるなど、セッティングに苦しんだ。公式練習中に行われたFCY(フルコースイエロー)テストやGT300の専有走行も片岡選手が担当し、最終的にマシンバランスは最初よりは改善されたが、ベストタイムは11周目の1分37秒051のままで、ライバルのタイムアップにより15番手まで順位を下げてのセッション終了となった。公式練習後に行われたサーキットサファリでは、谷口選手が今大会初の走行を行い、午後の予選に向けてマシンの状態を確認した。
GT300クラスの公式予選は、チームランキングをもとにA組・B組の2組に分けられ、GOODSMILE RACING &TeamUKYOは後半のB組に割り振られた。午後2時48分、4号車が出走するQ1B組がスタート。Q1担当の片岡選手は、セッション開始とともにコースインし、タイヤに熱を入れながらアタックに備えた。5周目に1分36秒760を記録して一時7番手に浮上したが、他のマシンのアタックにより10番手に後退。しかし、次のラップで1分36秒382をマークし、6番手でQ2進出を果たした。午後3時23分、Q1通過の各組上位9台、計18台によるQ2がスタート。4号車のQ2担当は谷口選手が務めた。谷口選手は、シグナルがグリーンになるとすぐにコースインし、タイヤを温めながらアタック準備に入る。まずはダンロップタイヤ勢が好タイムをマークし、61号車スバルが1分34秒882でトップに立つと、すぐに777号車アストンマーチンが1分34秒820でそれを上回った。谷口選手は1分36秒290を記録してQ1タイムを上回るも、上位勢には届かず12番手という結果で予選を終えた。予選終了後、メカニックチームにより問題の原因究明が夜半まで続き、結果サスペンションに故障が発見され、交換することになった。
5月4日(日・祝)【決勝】
天候:晴れコース:ドライ
気温/路面温度 スタート前(14:00)24℃/40℃ 序盤(14:30)25℃/36℃ 中盤(15:30)23℃/34℃
朝方は雲の多い空模様で富士山の頂上が雲に隠れていたが、ウォームアップ走行が始まる頃には強い日差しが差し込み、気温は25度、路面温度は41度まで上昇して富士山が顔を出していた。午後12時40分、ウォーミングアップセッション開始。片岡選手がマシンに乗り込み、決勝レースに向けたセッティングの最終確認を開始。前夜の作業のおかげでマシンバランスの問題は見違えるほど改善していたが、今度は走行3周目に左フロントタイヤがパンクするトラブルが発生。ボディにダメージを与えないよう慎重にマシンを走らせて、何とかほぼ無傷でピットまで戻ると、タイヤ交換をして、残り数分を使って走行を続けた。このセッションではパンクこそあったものの、「今から予選をやり直したい」と片岡選手が語るほどマシンバランスは改善していた。
3時間レースのスタート
限られた時間の中ではあったが決勝に向けてさらに足回りのセッティングを煮詰めることができた。14時10分、静岡県警の白バイによるパレードラップ開始。続く周ではセーフティカー先導による1周のフォーメーションラップを行い、いよいよ3時間レースがスタートした。スタート直前、18号車Mercedes-AMGがマシントラブルで隊列を離れピットへ向かい、これにより4号車は1ポジションアップしていた。さらにスタートが切られると、自他ともに認めるスタートが大得意の片岡選手はいつにも増して鋭い反応を見せ、1コーナーへ向かう間に87号車ランボルギーニと60号車レクサスRCFをかわして9番手へ、さらに1コーナーで11号車フェアレディと52号車スープラをイン側からオーバーテイクし、スタート時の12番手から一気に7番手までポジションを上げた。
勢いさらにポジションを上げたかったが上位勢のペースは速く、ここからは前を行く2号車にジリジリ離されながら7番手を死守する展開に。3周目には後方から56号車GT-Rが1秒以内に迫り、テール・トゥ・ノーズの激しいバトルが始まる。56号車が何度もインを突こうと仕掛けるが、片岡選手は冷静にラインを守り応戦。12周目のヘアピンで横に並ばれ、300Rでは並走しながらの攻防が続くが、その先のダンロップコーナーのブレーキング勝負で前に出てポジションを死守した。しかし、そのバトルの最中、27番グリッドからスタートした6号車フェラーリが驚異的なペースで追い上げてきた。13周目、ペース差の大きかった6号車にヘアピンでパスされ、8番手に後退。18周目、62号車GT-Rが87号車ランボルギーニとの接触でスピンし、2コーナー先でストップ。これによりFCY(フルコースイエロー)が導入された。45号車フェラーリと65号車Mercedes-AMGは62号車の停車を見てFCY直前にピットインを選択し、1回目のピット作業を完了、65号車はドライバーチェンジも行った。4号車は事前に想定していたピットウインドウより前だったことからステイアウトを判断した。
FCYは21周目に解除され、各車が続々と1回目のピットインを行い始めるが4号車はペースが落ちてこないことからステイアウトを判断し周回を重ねた。この間ライバルのピットインに伴い順位は上がり続け、2番手まで順位が上がった37周目にピットインの指示が出された。これを受けて片岡選手は38周目にピットイン、給油とタイヤ交換を行い、ドライバー交代はせず引き続き片岡選手のままでピットアウトし14番手でコースに戻った。この時、ピットイン直前にGT500の集団に巻き込まれてペースを落としていた影響で、後方にいた56号車に先行を許してしまい、セカンドスティント以降は56号車を追いかける展開となった。
4号車は56号車を追いかけながら他チームのピットインに伴い再び順位を上げ始める。44周に再び10位まで順位を上げた。56周目に2番手を走行していた777号車の左リアタイヤがバーストしてピットに向かったことで、9番手にポジションアップ4号車は56号車とのギャップを徐々に詰めるが、なかなか勝負圏内にまでは届かない。61周目にはようやく1秒以内に迫り前を窺うが、オーバーテイクには至らなかった。59周目に5号車MC86がピットインしたことで8番手へ、しかし5号車はタイヤ交換をせずに給油だけでコースに戻ったために4号車のすぐ後ろでレースに復帰した。60周目、レースの残り時間が1時間10分を切り、谷口選手がヘルメットを被る。63周目、45号車が2回目のピットインに向かったために7番手へ。66周目には65号車がピットインして6番手。70周目、4号車は2回目のピットイン。給油とタイヤ4輪交換を行い、ドライバーは谷口選手へ交代。10番手でコースへ戻り、レースラップに向けてタイヤを温めながら走行を続けた。この時同じ周回でピットインした61号車はタイヤ2輪のみ交換でピットアウトした為、5番手でレースに戻っていた。
74周目、2番手まで順位を上げていた56号車が2回目のピットインし、再び4号車の前でコースに復帰。タイヤのウォームアップが済んでいた4号車はすぐ背後に迫ってオーバーテイクのチャンスを窺ったが、追い抜くには至らなかった。78周目、8位を走行していた360号車GT-Rを、56号車と4号車が揃って抜いて9番手とする。87周目、トップを走っていた2号車がピットインし、タイヤ無交換でコースに4番手で復帰。これで全車両が2回の義務ピット作業を終えいよいよ順位が見えてくると、トップは777号車アストンマーチン、2番手61号車スバル、3番手6号車フェラーリと続き、4号車は9番手となっていた。前の56号車とは約3秒、後ろの5号車とは約30秒差。しかし56号車にはさらにジリジリとギャップを広げられていき、谷口選手はその後最後まで単独走行となった。
99周目、トップを走るアストンマーチンはタイヤバーストによる緊急ピットインで燃費が想定より悪化したと見え、ここでスプラッシュの為に3度目のピットインに向かった。これで順位を3位に落とし、トップは61号車、6号車は2番手に。106周目、GT500のトップマシンがチェッカーを受けた。4号車より前方のライバル達は107周目に突入していたが、GT500優勝車両のすぐ後ろを走っていた4号車は、そのまま106周でチェッカーを受け9位でフィニッシュとなった。なお、レースは終盤までトップを走っていた61号車がファイナルラップ中にダンロップコーナーでマシントラブルによりストップ。これにより、27番グリッドから驚異的な追い上げを見せた6号車が劇的な逆転優勝を果たした。61号車は107周目集団の最後尾まで順位を落とすも、4号車の1つ前、8位でレースを終えた。