スーパー耐久第1戦【KOSHIDO RACING】
シリーズ2年目への挑戦!
KOSHIDO RACINGのスーパー耐久シリーズ2年目への挑戦がいよいよ始まる。昨年デビューイヤーながらシリーズ2位という快挙を成し遂げたことで周りからも一目置かれるチームとなった今季、昨年以上の激戦となることは必至である。獲るべきものは無論シリーズチャンピオンのみ。開幕戦の舞台は先日の公式テスト同様にモビリティリゾートもてぎとなる。
公式練習走行
天候は晴れ。気温も10℃台半ばで想定よりも少し暖かい。公式テスト時に悩まされていた花粉の影響が気になるところであったが、幸い今回は少し和らいでいた様子。マシンのロトスタ号はメカニックたちの手によって万全の状態に仕上げられ、1本目の走行枠より開始。1stドライバーはいつも通り柴田が担当。次いで佐藤という順番となった。気温上昇のためかエンジンの伸びが今ひとつで、リアの挙動も落ち着きがなく、状態としてはオーバーステア気味。全体的にフロントタイヤの仕事量が多いように感じられ、ニュータイヤを入れるとそれが顕著に出ていた。走り始めのためタイム云々は別としても、セッティングは改めて詰めていく必要があった。
当初の天気予報とは打って変わってレインコンディションとなった練習走行二日目。気温も常に一桁で肌寒い。この日の午前のセッションはまず燃費テストから開始。ドライバーを務めるのは山本。まずはガス欠症状が出るまで走り続ける。ウェット路面のためドライに比べると燃費は向上してしまうが、ひとまず少しでも多くのデータ取得ができるよう勤しむ。続いて柴田がウェットでのチェック走行にあたった。午後の走行枠はA~Dすべてのドライバーが走行。天候はぐずついているものの、雨が上がったり弱まったりで路面が少しずつ乾き始め、走行ラインは次第にドライへと移行。とはいえ部分的にウェットが残っていることから到底全開走行できるような状況ではなく、各ドライバーは慎重さが求められるドライビングを強いられた。
全セッション終了後はこのレースウィーク最後のドライバーチェンジ訓練。ドライバーとメカニックが一体となってタイムを削りにいく。今季新たにメンバーに加わったメカニックもおり、全員が完璧に仕事をこなせるまで訓練は続いた。気づけば周りは真っ暗に。スーパー耐久2年目チームの挑戦はまだまだ途上である。
予選
気温は7~8℃。前日の雨天からは一変し、太陽がしっかりとコースを照らしている。体感的にもかなり暖かい。時刻は8:00。Aドライバーの佐藤がピットから飛び出していく。2分22秒台からの滑り出しで周回を重ねるごとに2分21秒380、2分20秒143と順当に1秒ずつ削っていく。アタックラップ3周目に2分19秒684をマークし、3番手に食い込んだ。Aドライバー予選でのトップタイムは88号車の太田選手。ディフェンディングチャンピオンの壁は今年も変わらず厚く、高い。続いてBドライバー柴田がコースイン。アウトラップからしっかりとタイヤをつくって3周目からアタックに入る。まずは2分17秒696、その次の周回で2分17秒252と続く。この日の車の感触を確かめ、さらにギアを一段上げた5周目で2分16秒822をマーク。Bドライバー予選枠でこちらも3位となった。
予選リザルトはA・Bドライバーの合算タイムにて、決勝グリッドは3番手となる。その後C・Dドライバーの計測枠があり、浅井が2分19秒109、山本は2分18秒257を記録。ロードスターマイスターの山本は、エンジンの中間トルクが不足していると表情を曇らせていた。どれだけ上手くコーナーの姿勢をまとめ上げ、立ち上がりを鋭くしても前走車から離れていく。トップスピードはそこそこ伸びているものの、そこに到達するまでのエンジンピックアップが感覚的に鈍いと嘆く。コーナーが連続するサーキット走行において必要なのは絶対的なピークパワーではなく、エンジンのピックアップの良さである。そこに現状のロトスタ号の課題が残っている。
決勝
13:45スタート。スターティングドライバーは山本謙悟。ローリングスタートにて各クラスクリーンなレース導入となった。スタート時から88号車、65号車に続く3番手のポジションをキープし、淡々と周回を重ねていく。マシンのバランスは良い。序盤、88号車が2番手以下を少しずつ離し始めていたが、7周目あたりから差が詰まり、そこに4番手の120号車も加わって四つ巴の戦いへと発展。ラップタイムはいずれも2分18秒台で拮抗している。山本はタイヤやマシンが消耗した状態からでも安定したペースづくりに定評がある。
15周目、ST-1のマシンがコース上でストップし、フルコースイエロー(以下、FCY)が発出。約2周弱でグリーンフラッグ。その後ほどなくしてST-4のマシンがトラブルにてストップ。19周目で再びFCY。ここでST-5Rクラストップの88号車はピットへ。KOSHIDO RACINGはそのままピットへは入らず周回数を重ねていく。1周回でFCYは解除され、ポジションは2位でトップ65号車との差は3秒強。引き続き山本はロトスタ号に鞭を打つ。23周目にして2分17秒155のベストラップをマークし、前を猛追。そのような最中、88号車にピット作業違反によるドライブスルーペナルティが課せられる。これによりトップ争いに大きな影響が出た。山本はST-X車両を前に行かせた際、ピックアップ(タイヤカス)を回収してしまい、リアタイヤのグリップが低下。しかし、その後の数周回にてしっかりと落とし無事にグリップを回復させる。そして38周もの長丁場を終えてピットイン。満を持してバトンを佐藤へ。ピットアウト後、混戦の中に飛び込むこととなった佐藤はひとつでもポジションを上げようと力を尽くす。しかしながらここまで5回のFCYが発生しており、各チームピット戦略が大きく変わる中でKOSHIDO RACINGもショートスティントでのピット戦略を余儀なく迫られることとなった。佐藤が入る直前に短いFCYを挟んだがぎりぎりピットイン可能なところで解除となり、辛うじてピットロードにマシンを滑り込ませる。
タイヤ交換を済ませ、45周回で再び山本へ。ピットアウト後まもなくST-Qクラス車両のエンジントラブルのため、FCYへ。度重なるFCYにも動じることなく、ペースはしっかりと守る山本。ロードスターレースで数々の戦績を残してきた職人は1stスティント同様のタイムでロトスタ号を攻め立てる。61周を終え、最終スティントは柴田。満タン給油し、フルアタックを託された柴田がコースに飛び出していく。但しこの時点で燃料搭載量はかなり厳しい状況。柴田には苦しい状況での仕事が強いられることとなった。ピットアウトの時点で前を行く3位の27号車との差は約11秒。但し27号車のピット回数はこの時点で2回のため、規程上あと一回は入らなくてはならない状況。実質的にはさらにその前を行く88号車を追う形である。88号車までは30秒近い差があり、またペースもほとんど変わらないことから厳しい境遇であることに変わりはない。しかし、88号車も他チームに比べてピット回数が多い。レース前半のペナルティ消化もあったことでトップ独走という状況ではなく、上位4台が近接していた。各チームのピット戦略で順位は常に入れ替わり、気が付けば残り1時間を切った時点でKOSHIDO RACINGがトップを走行することに。燃料残量的にこのままのペースを維持できるのか…エンジニアや監督に不安がよぎる中、いけるところまでいくという方針に。反対に2番手の88号車は燃料残量は問題なく、かなり早いペースで追い上げてきている。その周によっては1秒以上速いラップタイムもマークしていた。それでも柴田はあきらめることなく残僅少の燃料の状態で2分17秒台のアタックを続ける。それはまるで昨シーズンの最終戦岡山でみせた鬼神の走りを彷彿とさせるものであった。あの時は追う側、今回は追われる側となったが、また違った強さを見せつける。
しかし、柴田の無線からはいよいよ燃料が底をつきそうと悲痛な声が飛ぶ。チーム全体が逃げ切りを祈る中、2分16秒台後半で猛烈に追い上げてきた88号車の揺さぶりを数周にわたって凌ぐ柴田。何とかこのままというチームの願いも虚しく、ロトスタ号の燃料残量は限界を迎えていた。柴田からは何とかこのまま走り続けられないかという思いが伝えられたが、ここで止まっては元も子もない。エンジニアが首を縦に振ることはなかった。何とかあと10分間走り切りたいという思いを断ち、少量給油のために断腸の思いでピットへ。3位のマシンとのギャップは50秒以上あったため2位のポジションをキープし、チェッカーを受けた。
リザルトとしては決して悪くなく、寧ろ喜ばしいものであるが、ドライバーもスタッフも悔し涙を流しながら帰ってきた柴田とロトスタ号を迎える。これはそれだけ皆が熱い気持ちでこのレースを戦ったという証。4時間走行し続けて残り数周というシビアな燃料計算に翻弄されるというところにこのレースの難しさはある。