スーパーGT Rd.2 「FUJI GT 3Hours RACE GW SPECIAL」【谷口信輝選手】
3時間レースを走り抜き、8位フィニッシュ!
毎年ゴールデンウィークに富士スピードウェイで開催されるSUPER GT第2戦は、総来場者数が10万人に届こうかというシリーズ中最も盛り上がるイベントだ。しかし今年のレースウィークは事前の予報で悪天候が予想されていた為、その影響が心配されていた。それでも予選日、決勝日両日合わせて83,600人もの大勢のSUPER GTファンがサーキットに集まる盛り上がりを見せた。
今回のレースフォーマットは昨シーズン第2戦と同様に3時間レースとされた。タイヤの持ち込み本数は通常より2セット追加され、ドライタイヤが6セット、ウェットタイヤが8セット、決勝レースでは給油を伴う2回のピットストップが義務付けられる、というのが大まかなルールだ。Mercedes-AMG GT3に課せられるBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)は、サーキット特性に合わせてエンジンの出力を制限するエアリストリクターが、他サーキットのφ34.5mmからφ35mm(×2個)へと拡大される。搭載されるBoP重量は前戦より5kg軽い40kgとされ、車両重量は1340kgとなる。さらに4号車には、開幕戦で獲得した13ポイントに対するサクセスウェイト26kg(ポイント数×2kg)が加わる。
5月3日(土)【公式練習】
午前10時30分、公式練習がスタートした。晴れてはいるが、雲が多く強い風がサーキットに吹き付けており、日影では肌寒く感じられる天候だった。走行開始時の気温は22度、路面温度34度。4号車グッドスマイル 初音ミクAMGは、コースオープンと共に片岡選手がステアリングを握り、ピットを後にした。片岡選手はウォームアップの後、1周の計測を終えたところで一旦ピットへ戻ると、ピット前でタイヤ交換と給油作業を行ってすぐにコースへと復帰した。チームはこのレースから新しいピットワークシーケンスを導入する予定で準備を進めており、その練習も兼ねたピットインだ。片岡選手はその後6周目に1分37秒161をマークして5番手、続く7周目に1分36秒923を記録してこの時点で3番手につけた。午前11時を過ぎたところで7号車がピットロード入口付近にストップし、車両回収のため赤旗が提示された。チームはこのタイミングでドライバーを谷口へと交代した。
赤旗が解除されると、谷口は燃料を多く積んだ状態で公式練習終了までロングランのペース確認を行い、続く11時30分からのFCYテスト、11時45分からのGT300専有走行までをしっかりと走り切ってチェッカーを受けた。このセッションでの4号車のベストタイムは片岡選手が7周目に記録した1分36秒923で5番手タイムだった。クラストップは1分36秒377を記録した61号車、2番手に52号車、3番手には666号車が続いた。
5月3日(土)【公式予選】
Q1 (谷口): 5周目に1分36秒309を記録しB組7位でQ2進出。
午後2時20分、公式予選が開始された。GT300クラスの予選Q1はチームランキング順に2グループに分けられ、チームランキング4位につける4号車はB組へと振り分けられた。B組の出走は午後2時38分から10分間、4号車のアタックドライバーは谷口が担当した。谷口はコースオープンと共にピットを離れると、入念にタイヤのウォームアップを進めた。ピットウォークが行われていた午後1時頃には路面温度が40度を超えていたが、その後は太陽が雲に隠れ、強まった風の影響もあって予選開始時には27度まで低下していた。その為、谷口は予定よりも1周多くウォームアップを行うと、5周目にアタックをかけ、1分36秒309を記録して7番手につけた。続く6周目もセクター1、セクター2と自己ベストを更新する走りを見せていたが、ライバル勢のタイム更新状況から7番手が確実で、Q2進出確実となったため、アタックを切り上げてピットへと戻った。
Q2 (片岡): 5周目に1分35秒497までタイムを削るも、ライバル勢の追い上げもあり予選9位が確定。
午後3時13分、予選Q2が始まった。Q2のアタックドライバー片岡選手は、コースオープンと同時にピットを後にし、アタックに向けてじっくりとタイヤの熱入れを進めた。そして谷口と同じく5周目にアタックを開始、1分35秒497を記録した。Q1から大幅なタイムアップに成功したものの、ライバル勢も大きくタイムを削っており、最終的に9番手という結果で終えた。これにより、4号車グッドスマイル 初音ミク AMGは、翌日の決勝レースを5列目9番グリッドからスタートする事になった。ポールポジションは1分34秒314とコースレコードを更新する圧倒的な速さを見せた61号車が獲得、2番手には1分35秒062で31号車、3番手には1分35秒255で52号車とGT300規格車両が上位を占めた。
5月4日(月)【決勝】
スタート~中盤 (片岡): 得意のオープニングラップで8位へ浮上。
ダブルスティントで周回を重ねる。
前日の夕方から降り出した雨は次第に強くなり、夜中には暴風雨となっていた。しかし、事前の予報通り明け方に雨が止んで天気は回復し、午前9時過ぎにチームがサーキットに入ったころには路面は乾いていた。強い風が吹くものの、前夜の嵐から一転して晴れ渡った空の下、サーキットではピットウォークやゲストアーティストによるライブパフォーマンスが行われた。午後2時、静岡県警先導によるパレードラップとセーフティカー先導のフォーメーションラップを経て、いよいよ3時間にわたる決勝レースがスタートした。スタートドライバーは片岡選手。得意のオープニングラップでは、13コーナーで前の666号車と60号車がバトルを展開、60号車が押し出されて膨らんだところを見逃さずにオーバーテイクし、8番手へ順位を上げてメインストレートに戻った。5周目、先頭の61号車をはじめ上位陣がギャップを作り始めていく中、片岡選手は666号車に0.593秒まで迫り、オーバーテイクの機会を窺っていた。
6周目、前を行く5番手11号車、6番手65号車、7番手の666号車がストレートで三つ巴のバトルを繰り広げるすぐ後ろに着いた片岡選手は1コーナーでインに入り、65号車、666号車と共に11号車をパスし、7番手へポジションを上げた。この時666号車は65号車もパスした為、ここから4号車は65号車を追う展開に。10周目、前を走る65号車との差は0.9秒だったが、更にその前方を走る666号車は徐々に後ろを引き離し65号車に2.5秒のギャップを作っていた。なんとかして65号車の前に出て666号車を追いたい局面だったがオーバーテイクの機会が作れない。13周目になると65号車のペースが上がり、その差を2.8秒に広げられてしまった。さらに背後からは32号車が猛烈な勢いで追い上げを見せ、16周目には0.4秒差まで詰め寄られディフェンスを強いられる。32号車は同じMercedes-AMG GT3ながらもセッティングの違いからかストレートスピードは4号車に分があり、ポジションは譲らなかった。25周目、トップを走る61号車がストレートでタイヤのパンクに見舞われ、これをパスした片岡選手は6番手へ浮上した。27周目には後方を走っていた5号車もスローパンクチャーを発生。天候が各チームの持ち込みタイヤの特性と合わなかったのか、この後もタイヤトラブルが続発していく。
ここでチームは1回目のルーティンピットに向けて準備を開始し、29周目に片岡選手をピットに呼び込んだ。チームは新たなピットワークシーケンスにより、ダブルスティントとなった片岡選手を迅速にピットアウトさせると、32号車の前でコースに戻すことに成功する。しかし1周早くピットを済ませていた32号車はすでにタイヤに熱が入っており、アウトラップでペースが上がらないところをオーバーテイクされてしまった。35周目、各車が入り乱れるようにピットインし順位が目まぐるしく変わる中、片岡選手のポジションは19番手。1回目のピットを終えたグループの中では、トップが31号車、続いて32号車、そして4号車という並びとなっていた。ここで前を走る32号車とのギャップは0.5秒。その32号車を操るのはこのレースの直前に急遽搭乗が決まった、Spa24時間レースなどではGSRのチームメイトでもある小林可夢偉選手だ。片岡選手は盟友可夢偉選手とテール・トゥ・ノーズのバトルに入っていた。33周目、トップを行く31号車が最終コーナーでわずかに膨らんだ隙に56号車がパスしトップ交代。
31号車はそのままピットへと向かった。その後も37周目に777号車、40周目に666号車、41周目に56号車、43周目に65号車が続々と1回目のピットストップを消化していく。37周目には4号車と同じYOKOHAMAタイヤユーザーの88号車がパンクに見舞われた。44周目、GT500クラスの37号車とGT300クラスの18号車が突如スロー走行に陥り、37号車はコース上にストップしてしまった。これを回収する為、フルコースイエロー(FCY)が宣言された。
FCY解除のリスタートで、白熱したドッグファイトを展開。
スロー走行を続けていた18号車はFCYの為ピットレーンクローズであったが、やむを得ずピットに戻り、そのままガレージへと入っていった。さらにここまで1回目のピットインをせずに引っ張っていた52号車は、ガス欠ギリギリとなっていたようでこれもピットレーンクローズの中ピットへ向かう事を余儀なくされる。これにより後に60秒のペナルティストップを課されることとなった。46周目、4号車がストレートを通過しているタイミングでFCYが解除され、全車レーシングスピードに復帰すると、片岡選手は抜群のリスタートを決めて可夢偉選手操る32号車の前に出る。その様子は公式映像で抜かれていた為ピットはオーバーテイク成功で歓喜するが、片岡選手は直後の1コーナーでオーバーシュートしてしまい、再び32号車の後ろに戻る。ここからは32号車のペースが上回り、じりじりとギャップを作られてしまった。
終盤 (谷口): 過酷な条件の中でポジションをキープし、8位入賞を果たす。
67周目、レーススタートから2時間が過ぎる前にチームは片岡選手をピットに戻す。ドライバーを谷口へと交代し、2回目の給油とタイヤ交換を行いコースに戻した。71周目、2回目のピットインを行った32号車は谷口の前でコースに復帰した。72周目、777号車が2回目のピットへと向かい、4号車の前でコースに復帰したが、谷口はアウトラップのうちに777号車をオーバーテイクし、ポジションを守り切った。80周目、777号車は4号車に0.5秒差まで迫り、谷口とのバトルを展開する。しかし83周目にストレートで並ばれ、1コーナーで前に出られてしまった。そしてポールポジションスタートした後、レース前半でパンクチャーにより20番手以降まで順位を下げていた61号車が着々と順位を戻し、ついに4号車のすぐ後ろへと迫っていた。
しかし94周目、61号車にまたもやトラブルが発生。今度は駆動系のトラブルでピットまでたどり着くことが出来ずGRGTコーナーでマシンをストップさせてしまった。レースは残り約20分、谷口からタイヤが限界に達している事が無線で告げられていた。この時、オーバーテイクを許した777号車には11秒差までギャップを広げられていた一方、後方から迫る52号車とも6.5秒差あり、単独走行に近い状態だった。しかし一切余力が残っていない4号車をトラブルなく、またオーバーテイクもされずにゴールまで運ぶ為、谷口は細心の注意を払ってドライブした。100周目を突破した時点で、後方の52号車とのギャップはやや詰められ4.8秒、残り5分となる103周目には4.4秒と更に縮められるが、続く104周目には遂に52号車も力尽きたか、ギャップは再び5.4秒へと広がりはじめ、ポジションをキープした。ゴール目前のこの104周目には88号車が2回目のパンクに見舞われた。
ついに3時間が経過した。GT500クラスの36号車が115周でトップチェッカーを受けると、GT300クラスの8位を走行していた谷口操る4号車も続くようにチェッカーを受け、106周走行で8位で順位確定となった。GT300クラスのトップでチェッカーを受けたのは107周を走った56号車、2番手以下は106周で666号車、65号車、31号車と続いたが、2番手の666号車はレース前半の接触による10秒のタイムペナルティが加算されたため、最終的なトップ3のリザルトは、優勝が56号車、2位に65号車、3位に31号車となった。