MOTOR SPORTS info

2022.04.20 SUPER GT

GT300クラス3冠を誇る谷口信輝/片岡龍也選手のゴールデンペアを継続【GOODSMILE RACING & TeamUKYO Mercedes-AMG GT3 新車を投入】

2022 AUTOBACS SUPER GT Round1 OKAYAMA GT 300km RACE
岡山国際サーキット 2022年4月16日~17日

2022年のSUPER GTは例年より遅い4月の3週目に岡山国際サーキットで開幕のときを迎えた。GOODSMILE RACING & TeamUKYOは、ともにGT300クラス3冠を誇る谷口信輝/片岡龍也選手のゴールデンペアを継続し、マシンは昨年までと同じMercedes-AMG GT3ながら新車を投入して準備を進めてきた。これも例年通りだが、開幕前に公式テストやタイヤメーカーテストなど多くのテストセッションに参加して精力的にマイレージを稼ぎ、マシンのセッティング、タイヤの開発を進めてきた。
車種間のパフォーマンスを揃える事を目的とするBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)は昨年までと同じくMercedes-AMG GT3には厳しい状況が続く。
まず車重については、1285kgの車両重量に対して+45kgのBoP重量が課される。さらにコース幅、エスケープゾーンともに他コースに比べて狭い岡山では、安全性を考慮した特別BoPが採用され、+39kgのウエイトが加わって合計車重は1369kgとGT300クラストップクラスの重量。しかし苦戦した昨シーズン開幕戦に比べるとこれでも5kgの軽減だ。
エンジンには吸気量を制限するエアリストリクターで出力を調整するが、自然吸気(NA)エンジン車のなかで最も細い34.5mm径のリストリクターが昨年に続いて課されることになった。

【4月16日(土)】公式練習、公式予選
天候:晴コース:ドライ
気温/路面温度GT300 Q1開始時17℃/21℃ GT300 Q2開始時16℃/27℃ 終了17℃/29℃
16日(土)午前9時20分から始まった今シーズン最初の公式セッションは、快晴の下、気温13度、路面温度18度というコンディションでスタートした。強風が吹き荒ぶなか走り出しを担当した片岡選手は、10分ほどピット内で待機して気温/路温の上昇や路面状態が改善するのを待ち、9時30分を回ったところで参戦27台中24台目でコースへと向かっていった。タイヤのウォームアップを終え、計測6周目に1分26秒248を出し7番手となると、セッティングの微調整を加えるためピットへと戻る。その後もショートランを繰り返し、セッティングを調整していき、15周を終えたところで谷口へとバトンタッチした。
今シーズンはデザインイメージを一新し、鮮やかな『ライムグリーン&ホワイト』となった4号車グッドスマイル初
音ミクAMGは、ここから黙々とロングランに徹して1分28秒台前半のタイムを並べる。谷口は自身13周目に1分27秒636の自己ベストをマークしつつ17周をこなした。
公式練習の最後の10分間に設定されたクラス占有走行枠では片岡選手が再びシートを引き継ぎ、予選シミュレーションでアタックを行うが、1分26秒372が最速で自己ベスト更新はならず。公式練習序盤に記録した1分26秒248がベストタイムとなり、全体の17番手でセッションを終えた。
その後、FCY(フルコースイエロー)のテストを挟み、2019年以来ひさびさにピットウォークが開催された。サイン会やサンプリングなどはまだ禁止されていたが、ファンとドライバーが交流し、サーキットに和やかな空気が広がる。

午後2時、好天により気温15度、路温33度とチームの事前の想定よりやや高いコンディションの中、予選開始。GT300クラスのQ1は、開幕戦出場の全27台が前年度ランキング順にA組とB組に振り分けられ、それぞれ10分間で争われる。GSRはB組での出走となった。午後2時18分、Q1B組スタート。片岡選手はすぐにピットを後にし、タイヤの熱入れを開始する。しかしその直後、アウトラップの5号車(マッハ車検エアバスターMC86 マッハ号)がスピンし、コンクリートウォールにヒットするアクシデントが発生、この日最初の赤旗が掲示されセッション中断となってしまう。
マシン回収が完了し、午後2時33分セッション再開。残り8分での仕切り直しとなり、片岡選手はハイペースで熱入れを進め、計測6周目にアタックして1分25秒760をマーク。全体6番手とQ1通過カットライン8番手をクリアして、Q2担当の谷口に繋いだ。
午後3時6分、引き続き路面温度が30度を超えるコンディションのなか、Q2スタート。谷口は計測4周目からアタックし、1分25秒755を記録すると続く計測5周目に1分25秒607として、計時時点で13番手のタイムを記録する。さらにタイムアップを狙うものの、チェッカーラップでは1分25秒797と既にタイヤのドロップダウンが始まっており、タイム更新
はならず。最終的に14番グリッドから今シーズン最初の決勝レースに挑むこととなった。

【4月17日(日)】決勝
決勝天候:晴コース:ドライ
気温/路面温度
スタート前(13:55):23℃/32℃ 中盤(15:00):22℃/33℃ 終盤(15:55):22℃/30℃ ゴール時(16:05):22℃/28℃
夜中に吹き荒れていた風は朝までに収まり、前日に引き続き快晴に恵まれた。ピットウォークや、岡山では初開催となる自衛隊F-2戦闘機のウエルカムフライトなどのアトラクションが実施された後、12時40分ウォームアップセッション開始、各車レース前の最終確認を済ませる。午後2時決勝レーススタート。気温23度、路面温度も33度まで上昇し、結果として持ち込んだタイヤには少々厳しいコンディションとなってしまった。
2周のフォーメーションラップの後、今シーズン初めての決勝レースがスタートした。”鉄板のスタート担当”片岡選手は今回もスタート直後にポジションアップを狙っていたが、「スタートの隊列が整わないままスタートになってしまい、ギリギリ隊列に追いついた”だけ”で」1コーナーに向かうことになり、オープニングラップでの順位上昇はならず。その後もジリジリとした団子状態が続いていく。5周目、6号車(Team LeMans Audi R8 LMS)をパスして13番手。片岡選手は、その後も「燃費を少しでも抑えられれば」と意識しつつも、22周目には今シーズンデビューの20号車(シェイドレーシングGR86 GT)もパスして12番手へと浮上する。
前後のライバルと接近状態が続く中、膠着を脱する為、チームはレース距離の1/3を超えた26周目に片岡選手をピットへ呼び戻し、レースの残り2/3を谷口に託した。

谷口は23番手でコースへ復帰すると、1分28~29秒台の安定したレースペースでラップを刻んでいく。32周目にアウトラップの96号車(K-tunes RC F GT3)をオーバーテイクをするが、35周目に抜き返される。さらに52号車とバトルになり、一度前には出られるが、すぐに抜き返しポジションをキープ。ライバル勢がひと通りルーティンピット作業を終えた45周時点で10番手、続く周回では9番手へとポジションを上げる。55周目、7号車(Studie BMW M4)と5番手争いを繰り広げていた88号車(Weibo Primez ランボルギーニGT3)がダブルヘアピンでスピン、4号車は一時8番手に浮上するも、ストレート速度の差で6号車に先行され再び9番手。終盤、レースが大きく動き、ここからはサバイバルレースの様相を呈する。60周目、2台前方を走っていた96号車がヘアピンのブレーキングで止まりきれずGT500車両に追突。谷口はこのアクシデントのすぐ後ろを走行していたが、混乱を冷静に見極めてイン側からクリアした。
しかし96号車はこの時のダメージにより翌周のホームストレートでエンジンフードが開いてしまい、視界を失って1コーナーイン側のコンクリートウォールに激突する。今シーズン初のFCY導入となった。
64周目にレースリスタート後、谷口が抑え続けていた55号車(ARTA NSX GT3)に先行を許すが、70周目、再びヘアピンでその55号車が7号車に追突するアクシデント発生。谷口はこの時もクラッシュの直後を走っていたが、
冷静に見極めて難を逃れる。その後もGT500や前後のバトルに揉まれ「とにかくガチガチ(接触を)もらいながら、このサバイバルを生き残った」谷口は、10号車(TANAX GAINER GT-R)を追走しての7位チェッカー。混戦に強いGSRの持ち味を活かし、今
シーズン初戦でポイントを持ち帰る結果となった。続く第2戦、恒例ゴールデンウイーク開催となる富士スピードウェイでは、新規軸の450kmレースが予定されている。車両側のBoPも例年どおりエンジン側で一部緩和措置があることから、長丁場の混戦に強い谷口、片岡の両選手と4号車グッドスマイル初音ミクAMGが、ふたたび力強いレースを披露してくれるはずだ。

関連記事