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2023.08.21 MFJ

新型M1000RRで臨む鈴鹿8時間耐久ロードレース

世界耐久選手権シリーズ第3戦となる鈴鹿8時間耐久ロードレースが規制の無い形で開催された。
ライダーは星野 知也選手、綿貫 舞空選手に加え、昨年に引き続いて中冨 伸一選手という布陣。
鈴鹿8耐での参戦クラスは、マシンはSSTクラスに準ずるがFIM管理下ではないNST(ナショナルストック)クラ
スにおいてクラス優勝を目指す事となった。
6月と7月の8耐テストを終えた後に新型M1000RRが納車された為、慣らしから始まり1からのマシン作りを短期間でこなし、鈴鹿に持ち込むに至った。
全員のライダーが 8/2の直前テストで新型M1000RR初ライドとなったが、感触を試しながらも同時にタイヤテストやロングランなど様々なメニューをこなした。新型は燃費が良く1スティント27LAPを想定しており、昨
年より1スティント少なくなる。
8/3木曜日の公式車検を経て、チームは第2ライダーの綿貫選手と第3ライダーの中冨選手を入れ替える事にして、公式予選を迎えた。

8月4日(金) 公式予選1日目
昨年までと違う点は、公式予選が2日間にわたって行われる事。午前中はテストセッションとフリー走行、午後に1回目の予選というスケジュール。
エントリー台数50台中NSTクラスは16台、8耐の予選順位を決定する方法は各チームの登録ライダーが公式予選で記録したベストラップタイムのうち、上位2名の平均タイムを算出して順位が決定する。
11位以降はこの予選で確定するが、上位10台の順位は2日目に行われるTOP10トライアルで最終的に決定される。午前中フリー走行では各ライダーがメインカーとスペアカーを乗り換えながら走行し、セッティングの確認を行った。
午後、気温が高くなるコンデイションの中で1回目の予選が始まり、星野選手が走り始めて3周目に赤旗が出て中断、再開後にウィーク初の9秒代で2’09.378をマークしNSTクラス2位、続く中冨選手の走行時には2回の赤旗中断あるも、2’10.598でクラス5位。
そして綿貫選手走行時も2周目に赤旗中断があり、再開後良いペースでタイムアップしていく中、130Rで転倒してしまう。ライダーにケガは無く、転倒前に出した2’11.358でクラス6位。
2日目の予選まではスペアカーを使用する為、夜間走行迄にスペアカーを修復し、決勝を見据えて暗くなった時にどのぐらいのアベレージで走れるのかを確認、想定に近いところまで行ける事が判った。
3人のライダーが交代で走行し、ライダー交代時にはピットワーク作業も行った。
ストッククラスは、タイヤを容易に交換できるシステムを車両に加工する事が出来ないので、市販状態のままタイヤ交換を行わなくてはならない。我チームのピットワークは定評があり、それをスムーズに行う為に開発されたTONE工具を使用している。
夜間走行後、メカニックは遅くまで何度もタイヤ交換・給油の流れを確認しながらピットワーク練習を繰り返していた。
8月5日(土) 予選2日目 WEATHER:晴れ COURSE:ドライ
ナショナルストッククラス3位(総合25位) 2‘9.905(平均タイム)

前日に比べると湿度が高い中、午前中に行われた2回目の予選。コンディションとしては前日よりもタイムが出しやすいと思われたが、星野選手は3周目に2’10.548を出し、その後リアタイヤを交換してタイムアタアップを狙うが、前日のタイムを上回れずクラス4位。
中冨選手は、3周終了後にリアタイヤを交換、徐々にタイムを上げて前日のタイムを更新する2’10.431を出し、クラス5位て走行終了。
そして綿貫選手は昨日の転倒が有った事でやや慎重な走行となり、2周目に出した2’11.892でクラス6位。これにより星野選手と中冨選手のベストタイム平均は2’09.905となり、NSTクラス3位(総合25位)から決勝
レースを戦う事が決まった。
そして、TOP10トライアル前のフリー走行ではメインカーを走らせ、決勝に向けてセッティングの確認、調整を行った。決勝レースは50台(NSTクラス16台)でスタートする。

8月6日(日) 決勝レース WEATHER:晴れ COURSE:ドライ
決勝 SSTクラス13位(総合42位) 179LAP 11:30スタート~19:30ゴール
予報では台風の影響で一日雨になる可能性もあったが、朝方に雨は降ったものの朝のフリー走行時には晴れてドライコンディションで行われた。
中冨選手から走行を開始し、6周目に綿貫選手へ交代してコースインしていくが、逆バンク進入で遅いマ
シンを抜こうとしたライダーが綿貫選手に接触、押し出される形で転倒してしまう。幸いにもライダーにケガはなかったが、マシンは修復不可能なほど破損していた。(転倒の原因となったライダーからは謝罪有り)その後星野選手と綿貫選手はスペアカーで走り、フリー走行は終了した。

<スタート~3スティント>
思わぬアクシデントによりスペアカーで決勝レースを戦う事になったが、フリー走行後にライダーの提案によりセッティングを変更した。スタートライダーは星野選手、当面は雨の心配はなくレースはスタート、しかしスタート直後の1コーナーでまさかのスリップダウン。帰ってきたマシンはフロント周りにダメージが有り早速メカニックは作業に取り掛かる。星野選手は1コーナーの奥まで体が滑った事でツナギが破れ、右足に擦過傷を負ってしまう。約27分のピットストップで中冨選手がコースに復帰した。
最後尾まで落ちてしまい、前との差も6Lapあったがレースペースは悪くなく、NSTクラス#760 YSP Marcury Kawasaki plaza Suita がピットに留まっていた事でクラス15位(総合49位)となる。
その後#96、#70、#503、の後退でクラス順位は変わらないものの総合では46位となった。28周目に、前後のタイヤ交換と給油を行い綿貫選手に交代、綿貫選手もレースペース良く走行を重ねた。
NSTクラス#74 AKENO SPEEDが後退した為、クラス14位(総合45位)となり、更に#54がピットに留まっていた為総合44位となった。
<4スティント~6スティント>
55周目にタイヤ交換と給油、ステム修正をして星野選手に交代、順位は変わらず復帰し、星野選手も
レースラップ良く走れていた事で、結果的に朝のセッテイング変更が上手く機能していた事が判った。しかし、82周目にルーティーンの作業を終えて中冨選手が乗り込むが、エンジンがかからないトラブルが発生、タンクを外してリレー交換を施し約6分のピット作業でコースに復帰した(総合45位)
このピットストップの間に前に出ていた#74が再びトラブルで後退し、NSTクラス#411 TEAM MATSUNAGA KDC&YSP NAGOYA KITAが転倒した事でクラス12位(総合43位)となり、109周目に綿貫選手に交代。 120周目、#42の転倒でSC(セーフティカー)が5周に亘って入り、#41の後退により総合41位となる。
<7スティント~8スティント(ゴール)>
レースは残り2時間15分、136周目に綿貫選手から星野選手に交代、だが又もやエンジンがかからない
トラブルが発生してしまう。前回よりも重症な状態でセルモーターギアをメインカーから移植する作業となった。既に順位を争う展開ではなかったが、とにかくマシンをコースに戻してチェッカーを受ける為にメカニックの懸命な作業が続き、そこには絶対に諦めない気持ちが伝わってきた。
33分30秒のピットストップで息を吹き返したマシンに星野選手が乗り、クラス13位(総合43位)でコースに復帰した。星野選手が走り始めて5周目ぐらいから西コースで雨が降り始め、更にコース全体に雨が広がったが、スリックタイヤのまま走行し、安定の走りを見せた。
そして最後のスティント、星野選手からマシンを託された綿貫選手、雨は止んでいたが夜間走行では毎年いろいろなアクシデントが起こる為、慎重な走りでフィニッシュした。綿貫選手にとって初めての8耐はいろいろ厳しい事もあったが、様々な経験の中で成長が見えた。
又、ウィークを通してメカニックの仕事量は膨大で、その働きぶりは称賛に値する。そして裏方で働いてくれた多くのスタッフの力も忘れてはならず、誰一人欠けても成り立たない。
様々なアクシデントとトラブルが起こり、目標とかけ離れた結果となったが、その悔しさを忘れずに来年必ずリベンジを果たしたい。
尚、レースは総合43位でゴールしたが、正式結果では2位でゴールしたTOHOレーシングに違反があった事で失格、その為順位が繰り上がり、総合42位となった。


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