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2023.09.29 SUPER GT

アメリカ挑戦中【塚本ナナミ】

塚本ナナミ選手 7月・8月活動レポート
今回は、日本のFormula Drift Japan2大会翌日。
アメリカへ出発しテスト走行、Rd.3に参戦。その2週間後にRd.4に参戦するためにアメリカで1ヶ月間の長期遠征を行いました。

【大会レーポート】
▶Hot Pit AutoFes Rd.3
7月28日・29日
マシンのシェイクダウンがそのまま大会の本番だったRd.2から、今回はアメリカのコースに合わせたセッティングを見つけるべく事前にテストを行いました。
アメリカのバンク(壁沿いの坂道)コースでは独特のセッティングと運転技術が存在し、Rd.2ではこの特徴に悩まされ予選をうまくこなせなかった反省を活かし、万全に準備をするべくテストを行いました。
7月27日
▶Willow Springs International Raceway にてテスト
気温40度、人間にもクルマにも厳しい環境の中、テストが行われました。
Rd.2ではウォームアップだけでマシン水温が100度を超え、ウォームアップ無しの本番走行を余儀なくされたため、今回のマシン変更は熱対策をメインに行いました。
ラジエーター、オイルクーラー、ファン、インタークーラーなど全てを一新しましたが、
水温は改善されたものの、この厳しい暑さに十分な効果を得ることができませんでした。
また、テストで発覚したのはリアのサスペンションが壊れていることでした…
アメリカで使用している180SXは、右ハンドルのクルマであることが条件で皆様からいただいた予算の中で購入しました。プロ選手にも車両の状態を確認いただき購入したのですが、
現地の日本車好きが大事に乗っている車両だったため、ハードにドリフトをして初めてサスペンションが機能していないことが発覚します。

幸いドリフト不可能という問題点ではなく、競技車両としてのポテンシャルが低いという問題でした。テストを行うことでマシンの癖をより理解し、こうした問題点を見つけることができたことにテストの大切さを改めて感じました。
こうした問題点を理解した上で大会本番を迎えました。
結果は43台中28位、デスマッチでは追走に勝ち
Best 32の追走ではRd.3の優勝者(Josh Mason マシンBMW)との追走で敗れました。
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8月14日
▶Willow Springs International Raceway にてテスト
Rd.3のサスペンショントラブルを受けて、Rd.4までの2週間の間に急遽サスペンション、アーム、
ナックルなどの足回りを全て新しいものに変更いたしました。
サスペンションはアメリカFD Pro選手が開発するFEAL Suspensionにすることで
現地プロチームからのフィードパックと、万が一のトラブルにすぐ対応できるようにとチョイスしました。
アームはAPEXi様、ナックルは地元選手らが使用するGK Techのリアナックルをチョイスし、アメ
リカ現地にあったセッティングを目指しました。
▶Hot Pit AutoFes Rd.4
8月18日・19日
Rd.3の走行を受けて、アメリカのタイヤディストリビューターからVitourタイヤの提供とテストの提案を受けました。
サスペンション、足回り、セッティング、タイヤなど
全て一新し、クルマのポテンシャルを上げましたが、大幅な変更のため実質新しいマシンのシェイクダウンとなります。
マシンの仕様を一新したことで、運転の自由度が増し、本来の自分の運転ができるようになりました。しかし新しいタイヤの癖に悩まされバンクギリギリの壁沿いのラインがどうしても取れず、クラッシュも許されない状態が続く中、クラッチのトラブルに見舞われました。
原因は、BMWのミッション・日産のペダル・アメリカパーツメーカーの大きなシリンダーの組み合わせがうまくマッチせず、クラッチペダルが戻らないというものでした。
メカニックと大会関係者からのアドバイスもあり、なんとか運転できるまでに調整しました。結果は
40台中26位、今回はいきなりBest 32に食い込むことができました。
追走の相手はコルベットを操る、Alex Anderson選手。
予選7位の選手との追走に敗れました。
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8月20日
▶ハリケーンの中のプラクティス
大会が行われるOrange Show Speedwayでの数少ない練習会が開催されました。
普段走れない本番コースの練習に参加できるということでエントリーさせていただきました。
しかし30年来のハリケーンに見舞われ、生憎ドライでのテストとはなりませんでしたが、
滅多に雨の降らないカリフォルニアで新しく装着しているタイヤのウェット性能をテストすることができました。
このテストでは、Vitourタイヤの縦と横のグリップバランスがかなり異なるということがわかりました。このことから日本流の振り出し侵入で狙ったラインにクルマを運ぶことが難しかったのも、タイ
ヤの性格が要因の一つだと感じました。
この経験を今後の経験と走りに活かしたいと思っております。
大雨の中、協力してくれたチームのお陰で貴重なデータを得たことに感謝しております。
今回もアメリカ遠征で多くの貴重な経験を得ることができました。
小さな1歩を積み重ねてのアメリカ参戦チャレンジですが、皆様のご協力のお陰で夢にチャレンジできております。毎度、このチャンスをいただけたことに心から感謝をする日々です。本当にありがとうございます。
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▶Formula Drift Japan2 Rd.4 奧伊吹モーターパーク
8月26日・27日
アメリカから帰国して翌日からテストに入り、日本のFDJ2大会に挑みました。
前回のSUGO大会で見つけた課題を日本のサスペンションメーカーRSR様にご協力いただき、点検と仕様変更を行いました。
アメリカからリモートで車両の仕様変更にも関わらず協力してくださったRSR様、チームメイトのガレージHAMA様のお陰で大会に間に合いました。
以前からスープラの車高を思った数字に上げることができないことに悩まされ、メーカーではないと対応できないものでした。
今回はRSR様にサスペンションのケース延長を行っていただき、念願だったリアバネレートを下げることも叶いました。
これにより、本来のアグレッシブな運転を取り戻すことができました。
練習走行から順調な走りができた確信しておりましたが、毎戦の審査評価は変化しており
参戦しているライバル車両のレベルによって点数が上がってきております。
参加車両のスペックが上がる中、私の単走1本目は迫力に欠けると75ポイントでした。
走りを修正し、チャレンジしたものの振り出しの位置がズレてしまい、2本目は67ポイントと予選22位、Best 16のみが追走進出する日本の大会ではここで終わりました。
思うような結果まであと少しという歯痒さを感じますが、ドライバーが環境に合わせて
走りを変化させて結果を出すのがドリフト競技だと思います。
ドライバーとして課題は残りますが、皆様のお陰で確実に前進しております!

これからも全力で上を目指し、チーム一同頑張って参ります。


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