知っておきたい締結の世界

第2回

強度と強度区分について

一般産業の設備・機械・車両・航空機・自動車等についてもボルト締結は数多く採用されており、機能上・安全上・保安上重要な箇所ではボルト締結に厳格な締付管理が求められます。誤ると破損に繋がるため3つのポイントを説明します。

ボルト締結について:ボルト締結とは、ボルトを引張ることで行います。
ボルトの材料と強度:ボルトが引張られたとき、その限界は、ボルトの強度に左右されます。
ボルトの軸力:ボルトの強度に応じた引張り力(軸力)で締付けるのが安全で効率的です。
また、強度は材料によって変化するので、材料の違いも重要です。

ボルト接合

ボルト結合のイラスト

ボルトを締付けると、ボルトには引張力(軸力)が生じ、被締結部材には圧縮力(締付力)が生じて一体化します。
この状態が、ボルトが締結されている状態でボルトが元に戻ろうとする力で締結されるのです。
この元に戻ろうとする力は、バネと同じ力で、このバネの力が軸力なのです。この軸力を適切に与えることが締付けの目的になります。

目的とする軸力の大きさに対応するボルトのサイズと強度は設計で決められ、軸力の安定度合(管理水準)は締付管理により確定します。
そこで,適切な軸力を確定するためには、ボルトのことと、締付管理について、知る必要があります。

ボルトの材料と強度について

ボルト材料のJIS規格には、鉄鋼・ステンレス鋼・銅合金・アルミ合金等が規定されています。これらの材料で造られたねじは、製造・加工・処理等の方法により数段階の強さに分類され、これを強度区分と言います。

ボルトの材料と強度についてのイラスト

①鉄鋼材料では,強度区分が 3.6 から 4.6 4.8 5.6 5.8 6.8 8.8 9.8 10.9 12.9 までJISでは規定されています。
この強度区分を表す数字には意味があります。

例えば,強度区分 4.6 の場合,左側の数字 4 はねじの最小引張強さの1/100の値であり、400N/㎟ であることを示しています。
中央の点と右側の数字はセットで .6=0.6 を意味し、ボルトの降伏点または耐力が右側の最小引張強さの 0.6=60%という降伏・耐力比を示し,400×0.6=240N/㎟がねじの降伏点または耐力であることを意味しています。
一般にボルトの締付力は,この降伏点・耐力を超えないように設定しますので,鉄鋼製ねじの強度区分は重要です。なお、JISでは鉄鋼の鋼種(材料)区分は規定していません。

②ステンレス鋼材料では,鋼種によって用途が異なるため鋼種の表示が指定され、表のA1、A2、F1、C1 等です。 強度区分の数字の 50、70、80 等は最小引張強さの1/10の値を示し、例えば、50 は最小引張強さが 500N/㎟ということです。なお、ステンレス鋼では降伏・耐力比は表示しませんので別途規格値を確認する必要があります。

③非鉄金属である銅合金、アルミニウム合金については、表のように銅合金を示す CU またはアルミ合金を示す AL に鋼種別の連番を付した表示ですので、最小引張強さや耐力等は別途規格を確認する必要があります。

ボルトの軸力について

ボルトの軸力についてのイラスト

ナットを締めるとボルトが伸びて次第に締付け力が増して右図赤線のように推移します。
①当初、軸力はナット回転角に比例して上昇します。(弾性域)
②軸力は、弾性限界に達すると回転角に対する軸力の上昇度合いは急速に低下します(塑性域)
力が抜けるポイントを降伏点といい、この点までボルトは伸びても元の長さに戻ります。
しかし、この点を超えると元の長さには戻りません。
③軸力は最大に達した後、徐々に低下し、最終ではボルトがねじ切れます(破断)

ボルト締結は本来、この軸力を管理したい。
しかし、軸力を測定することが困難なため、次の締付け指標を代用特性として軸力を管理します。
(1) 締付けトルク:締付力とトルクの線形関係を利用
(2) 締付け回転角:ボルトとナットとの相対締付け角度による
(3) トルクこう配:締付け時の回転角-トルク曲線のこう配を検出

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